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第6話 常識知らず?片付けの見積もりはいくら?

【第6話のあらすじ」

「淀江プロジェクト」第6話・・・話は遡り、父の葬儀の後、洋子の息子義邦が古本屋さんを呼び、実家にある書籍がいくらで買い取れるかを確かめたときのこと。洋子にとっては衝撃の買取価格が明らかになる。そして、父の一周忌の後、今度は、母屋の不用品処分をしたらいくらかかるのかの見積もりを依頼し、常識知らず?の洋子にとってはこれまた衝撃の見積額が明らかとなる。大量の書籍・そして荷物・・・をこれからどうする? 母屋をどうする?

第5話  Yodoe Project Story  第7話

父の蔵書、子どもの頃の思い出の書籍はいくらで売れる?

壁面本棚

 話は遡って、2017年9月の洋子の父の葬儀の後のこと。洋子の息子 義邦が地元の古本屋さんに連絡をして来てもらい、実家に残っている書籍を売ったら、一体いくらになるのかを鑑定してもらった。

 

 洋子の父は、読書が大好きで、若い頃から本の購入には糸目を付けなかった。壁付けの本棚以外も家じゅう本棚だらけ。中学校の社会と英語の教員だった関係もあり、また文学や芸術にも興味があり、世界事情や各国の歴史・文学全集などを中心に本棚にはぎっしりと本が詰まっていた。子供たち(洋子と衆)のためにも離れの本棚の壁一面では入りきらないたくさんの本を購入して、小さい頃は毎日読み聞かせをしてくれていた。洋子や衆の子供たちもここにある子供向けの大量の本を読むのを楽しみにしていた。

 母屋の書斎の壁一面の本棚、そして和室や書斎、父の寝室、縁側や廊下には本棚が別に9つ、洋室と離れにも壁一面の本棚があり、父が亡くなった頃には3000冊以上の本が並んでいた。

 洋子は何の根拠もなく漠然と「少なくとも30万円くらいにはなるかな?」と思っていたのだが、古本屋さんから提示された金額は「3万円」。

「お父さんがお金と時間を費やして集めてきた蔵書、私たちそして私たちの子どもたちも楽しみに読んだ本は合わせて3万円の価値しかつかないんだね。」

「そんな金額にしかならないのなら、今はとりあえずそのまま置いておこうか。本当に片付けが必要となったときにまた考えよう。」 


母屋の片付けを業者に頼むといくらかかる?

 2018年9月の父の一周忌の後、離れのゲストハウス化に向けて動き始めた洋子は、11月3日~4日に建築士さんとの打合せのために淀江に帰り、11月21日から離れの改修工事をしてもらうことを決めた。またその際に、たくさんの荷物が詰まっている母屋の荷物の処分の見積もりも建築士さんにお願いしておいた。

 そして、工事が始まる前の11月18日に、ゲストハウスにする離れの荷物の片付け(取り急ぎは母屋へ荷物を移動)も兼ねて実家に帰ったのだが、その日、打合せに来られた建築士さんが母屋の荷物処分の見積もりを提示してくれた。

 常識知らず?の洋子は、特に根拠なく、かかっても30万円くらいだと漠然と思っていたが、見積書は税込みで727,380円、田んぼのはで掛けの竹の置いてある倉庫や母の車の置いてあったガレージ内、ゲストハウスにする予定の離れに置いてある一旦母屋に移動させるものも処分するとなると税込で100万円くらいになる・・・ということだった。

 洋子はびっくりして、弟の衆に連絡。

「不用品の処分、田んぼの竹の置き場やガレージ内も入れたら100万円くらいかかるって。私は勝手に30万円くらいかな・・・って思ってた。」

「僕もそれくらいだと思ってたよ。」

そこで、弟の奥様 篤子さんが口を開く。

「私はよくゴミ屋敷の片付けのテレビ特集などを見ていたので、100万円くらいはかかると思っていました。」

「そうなんだねぇ。片付けってそんなにかかるんだ。常識知らずだった。」

「僕も全然相場がわかってなかったわ。業者に頼むとそんなにかかるんだね。そんなにかかるんだったら、母屋、しばらくこのままにしておく?」

「明日、サハラクミコさんという知人が大阪の面白い若者たちを連れて訪ねて来てくれる予定になってるんだよね。そのメンバーにうちを見てもらって片付けのことも相談してみるよ。」